政治・経済

市民と歩んだ28年7カ月 当選8回 永田公由塩尻市議引退へ

28年余の議員活動を振り返る永田氏

 塩尻市議会で歴代最多タイの当選8回を果たした永田公由氏(73)=宗賀洗馬=が、4月29日の任期いっぱいで引退する。在任は28年7カ月にわたる。足腰の状態に不安があり「気力はあるが、ここが潮時」と昨夏、次期市議選の不出馬を決めた。長年、市政運営を見続けた重鎮として現在の心境や市議会、市政への思いを語った。

 日常生活の問題や課題解決をモットーに、市民の相談に応じ関係機関につなぐ議員活動を心がけてきた。
 印象深いのは、宗賀牧野区の産業廃棄物中間処理施設の建設問題だ。建設差し止め運動が住民とのつながりを強め「長く議員が続けられた」。当時の三沢光広市長に関連の一般質問をした際は120人が傍聴に訪れ、議場には2回に分けて入ってもらった。平成23(2011)年から2年議長を務めた時には、議会基本条例に基づき、市内10地区を巡る議会報告会を初めて開いた。
 松商学園高校を卒業後、横浜市内の百貨店勤務を経て、家業の酒販小売業を家族と営んだ。平成6(1994)年9月の市議会議員補欠選挙に出馬し初当選。自民党衆院議員・唐沢俊二郎氏(故人)の選挙応援を機に、20歳で政治に興味を抱いた。昭和54(1979)年、市議に当選した父親は1年6カ月余で病没した。「いつか自分も」と考えていた。
 「決断力がある」と評価した小口利幸市政の20年で「塩尻のまちは良くなった」とみる。道路拡張や、都市計画道路も整備が進んできた。市民交流センターや総合体育館が建設され、「あとは野球場と博物館が課題」とする。周辺部の交通手段の確保も重要課題と見通す。
 昨年10月に百瀬敬市政が始まった。議員としては「地域に密着した活動と、行政に対して政策提言していくことが大事だ」と考える。宗賀地区地域振興協議会長として「今後も地域振興に力を入れたい。やることはいっぱいある」と語る。