首相に石破氏選出、決選投票で 課題解決の改革期待

先月の衆議院議員選挙を受けた11日の特別国会で、自民党の石破茂総裁が第103代首相に選出された。与党の自民、公明両党が過半数割れした衆議院では1回目の投票で誰も過半数に達せず、石破氏と立憲民主党の野田佳彦代表の決選投票となった。政権基盤が不安定な中、松本・木曽地域では、物価高をはじめとする喫緊の課題解決へ与野党が力を合わせて取り組むことを望む声が聞かれた。
松本市の臥雲義尚市長は「与野党伯仲の船出となった石破首相には、中道と多様性を重んじ、成長と分配に目配りした経済のかじ取りと遅れているジェンダーバランスの変革を期待したい」と注文。松本商工会議所の赤羽眞太郎会頭も「安定した経済政策の継続と地方創生やデジタル化進展に期待」とした。
物価高対策と賃上げの具体策を求める声も。塩尻市広丘高出の信州吉野電機の吉野智胤社長(47)は「党利党略ではなく国のための政治を願う」とした上で「賃上げしても物価上昇で相殺される。消費税率を一時的でも下げれば国内消費が増えるのでは」とした。
松本市里山辺で「寄り添いこども食堂」を運営する田口恵子さん(48)は「一人親の利用が増えている。困っている人の声や実態を把握して」と願った。生坂村の主婦・山本かつ美さん(83)は「年金暮らしで物価高が心配。パートで補っているがいつまで働けるか」と不安を口にした。
「家庭の経済状況にかかわらず教育を受けられる社会を」と要望するのは、信州大学大学院総合人文社会科学研究科2年の玉田梨々花さん(23)。「人口比が小さい若者の声にも耳を傾けて」と求めた。
安曇野市明科中川手のワイン用ブドウ農家・池上文康さん(65)は「国内農業の担い手と農地を守る施策の充実を」と願い、南木曽町の妻籠宿で旅館と飲食店を営む藤原恵子さん(70)は「地元自治体と連携し、地域資源を生かす観光施策の展開を」と力を込めた。