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そば打ち講師が2人引退 参加者の落書き帳が宝物に

そば打ちをする草間さん(左)と吉原さん。家庭菜園仲間だった2人が講師として協力し合い、初心者がおいしいそばを味わえる体験教室を開いてきた
 「初めてのそば打ち。褒めてもらいテンション上げて頑張れました」-。松本市の美ケ原温泉旅館協同組合のそば打ち体験教室で長年、講師を務めてきた男性2人がこのほど、高齢のため引退した。平成21(2009)年から、参加者に自由に書いてもらった「落書き帳」には、2人への感謝の言葉や楽しかったそば打ちの感想など温かなメッセージがつづられている。
 2人は、草間幸男さん(87)=横田1=と吉原德和さん(79)=同。ともに会社勤めなどを定年退職後、同組合がふれあい山辺館(里山辺)で開く体験教室の講師を始めた。  参加者は組合の旅館などに宿泊した観光客が中心で、そば打ちが初めての人がほとんど。落書き帳には「うまくできないと思ってたけど、コシがあっておいしくてびっくり」「先生が『いいよ』とおだててくれ、楽しみながらできた」など、充実した体験談がたくさん書かれている。  吉原さんは「全国からお見えだから、楽しい時間を過ごしてもらいたかった」と振り返る。打つ際の水の量や、そばの太さでゆで時間を変えるなど、初心者でもおいしいそばが出来上がるように工夫したという。  打ちたてのそばの試食会では、2人が栽培したナスやキュウリの浅漬けも好評だった。「都会から来た人たちには採れたての野菜が珍しくて。おいしいと言ってくれて張り合いだった」と草間さんはほほ笑む。  吉原さんは「小学生や修学旅行の高校生、いろんな方とお話ができて楽しかった」と話し、草間さんも「多くの方に出会えたことは、心の財産。落書き帳は出会いの記録になった」と語っている。