市民生活の要 松本の水道事業100年

松本市の水道事業が9月に100周年の節目を迎えた。大正12(1923)年9月、島内地区(当時は島内村)の自然湧水を水源に、城山配水地まで水を揚げて給水したことが水道事業の始まり。市は100周年記念事業のスローガンを「次世代につなぐ松本のみず」と銘打ち、水源地を巡る市民向けの見学会や記念式典などの関連イベントを実施する。
100年前に9000人だった給水人口は、近隣町村との合併などで23万5000人に増え、全世帯の給水普及率は99%を超える。現在に至るまで先人たちが多大な努力を重ねており、記念事業は市民が水の価値と大切さを幅広く再認識することが狙いとなる。
市民見学会は10日で、島内第1水源地と城山配水地の2カ所を巡る(募集は締め切り)。今月中旬には、かりがねサッカー場(惣社)に無料で冷水を飲めるウオーターサーバーを設置する。10月7~9日に松本城公園で開催される「信州・松本そば祭り」には、市水道局がPRブースを出展する。
長野道松本インターチェンジに隣接する市上下水道局(島立)には、記念事業を周知する巨大看板が掲げられた。
水道事業はかつての拡張の時代から、維持管理を中心とした基盤強化の時代に入っている。人口減少に伴う需要の減少や施設の老朽化に加え、近年は頻発する自然災害への対応で水道事業を取り巻く環境は年々厳しさを増している。
市上下水道局総務課の中川修課長は「蛇口をひねると水が出ることが当たり前になっているが、先人たちの功績を忘れてはいけない。記念事業を通じて先人の苦労に思いをはせてほしい」と話している。