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木曽の熊肉を誘客の柱に 宿泊施設とハンターがタッグ組みコース料理提供

熊肉を使ったコースメニューの一部。「木曽の自然の恵みに感謝しながら提供したい」と話す料理長の友森さん

 木曽の山中で捕らえた熊肉は、冬の木曽でしか味わえないごちそう-。塩尻市奈良井の宿泊施設と上松町のハンターが「木曽の冬山の恵みを地産地消し、誘客につなげよう」とタッグを組み、熊肉料理の提供を始めた。冬季の観光の目玉が乏しい木曽地域にあって、ジビエ(野生鳥獣肉)の中でも希少な熊肉を手軽に味わってもらいながら"木曽産の熊肉"を発信し、新たな観光の柱に育てたい考えだ。「木曽の冬の風物詩になれば」と夢が広がる。

 築約200年の古民家を再生して令和3年、奈良井宿に開業した「BYAKU Narai(ビャクナライ)」が今冬、宿泊客向けのコース料理として提供を始めた。19日には、レストラン客向けのコースメニューに加えた。料理長の友森隆司さん(44)は「地元のハンターの協力があってこそ。地域の宝を生かした『国内唯一のコースメニュー』であることは間違いない」と話す。
 熊肉は、狩猟歴30年以上のベテラン猟師で、木曽で唯一のジビエの食肉処理施設を開設する上松町の百田健二郎さん(75)が提供する。「仕入れ先を見つけるのが難しい」という熊肉を求めて全国から訪れるバイヤーに「木曽のジビエは木曽で食べてほしい」と、買い占めを断る百田さん。「地域の食文化を守り支えたい」と話しながら「地産地消につながる」と熊料理のコースメニュー誕生を歓迎する。
 提供する料理は、デザート以外の8品が全て熊肉。心臓や胃袋といった希少部位を、しゃぶしゃぶや炭火焼き、赤ワイン煮込みなどで提供する。友森さんは「百田さんが処理する肉は臭みがなく格別。ジビエ初心者も食べやすい」と勧める。
 「ツキノワグマフルコース」は1人3万3000円(税込み)で、日曜日から木曜日(午後6時のみ)に提供する。3日前までに電話(0264・34・3001)で予約する。宿泊プランは1日6人限定で、同施設の公式サイトから申し込む。熊肉料理は4月中旬まで。