「岩原村北部絵図」を修復 江戸中期に作成か 1月14,21日に一般公開

修復された絵図。来年1月に一般公開される

 安曇野市文書館は15日、堀金烏川の旧大庄屋・山口家から江戸中期の地元・岩原村(現在の岩原区)の北部を描いた絵図「岩原村北部絵図」がこのほど寄贈され、修復が完了したと発表した。土地の所有者や面積などが詳しく描かれ、市文化課は「現在の集成図のような形をとった絵図は珍しい」とする。明治期に廃寺となった安楽寺の様子や大同寺の場所も確認できた。

 絵図の縮尺は約500分の1で、大きさは縦2.1メートル、横1.4メートル。作られた時期は不明だが、大同寺の並びに薬師堂が移転してきていることや、孤峰院が安楽寺境内に引き取られる前であることなどから、寛延3(1750)年~明和7(1770)年の作成と考えられるという。
 絵図は西が上になっている。北は現在の国営アルプスあづみの公園堀金・穂高地区須砂渡口ゲート付近。田は桃色、畑は黄色で描かれるなど土地利用の状況が分かるほか、当時の建物の造りや屋根の素材、石垣の様子を伝えている。田畑には所有者や検地帳番号などが書かれ、課税資料として備える集成図の要素を持っている。
 山口家第23代当主の山口裕さん(75)から今春に寄贈を受け、県内専門業者が約4カ月かけて修復した。費用は231万円。文化課は「情報量が多くて当時の村の様子がよく分かる。これほどきれいな絵図はなかなか出てこないだろうという希少性も考慮して修復した」と説明した。
 修復前の絵図は劣化と虫食いでぼろぼろだった。山口さんは「建物がはっきり描いてあって驚いた。大同寺の場所もはっきりして良かった。地域の昔のことが分かってきたことが良かった」と感慨深げに話していた。
 絵図は来年1月14日と21日の午前10時と午後2時に一般向け公開を予定している。