政治・経済

松本市立病院 分娩中止を検討 取り扱い激減 医師不足も

 松本市は17日、市立病院(波田)の産婦人科について、分娩の受け入れ中止を含めた検討を始める考えを市議会厚生委員協議会に示した。近年の取扱件数の激減や医師不足が要因で、他病院への集約化を視野に入れる。ただ、市は病院の移転新築に向け、産婦人科の診療を行う前提で基本設計に入っている。方針転換すれば影響が大きいため、改めて議会と協議する。

 市は、妊婦健診など婦人科のみ継続することなどを検討する。北野喜良・事業管理者の諮問機関として有識者検討会を4月に設置、翌月には結論を臥雲義尚市長に報告する。
 市立病院の分娩件数は年々減少し、近年はコロナ診療の影響もあって激減。昨年度は173件で、平成26(2014)年度の524件から67%減った。本年度も200件を切る見通しだ。院内の産婦人科医は5人中4人が50代で、中堅医師の確保も困難だという。
 ただ、委員会では「承認しがたい」と集約された。令和8年度の開院を目指す新病院の基本設計は、検討結果が出る前の3月に完了予定。産科廃止となれば分娩室などは不要になり、整合が取れなくなる。委員からは「計画変更は大問題」「西部地域の住民が頼りにする病院を存続して」などの声が聞かれた。松本医療圏(3市5村)の分娩施設は7カ所ある。