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六九の店主と作家がアート共作 2月のマツモト建築芸術祭へ準備 

撮影について店主とやり取りするアクセルバルさん(左)

 松本市中心街の建築とアートを融合させる「マツモト建築芸術祭」(実行委員会主催、2月4日~26日)に向け、作品制作が進んでいる。昨年に続く2回目の今回は出品作の一つに、六九商店街の店主とその家族5組が写真の被写体となる企画が用意された。六九の歩みや歴史を踏まえつつ、作家と街の人たちが共同作業に取り組んだ。

 昭和初期の建築とみられ、20年ほど前まで使われていたという六九の旧洋裁店で16日、スウェーデン出身のアーティストのヨーガン・アクセルバルさん(50)が店主にカメラのレンズを向けた。店主たちは、市内に制作拠点を置くデザイナー・吉本天地さん(29)の洋服を身に着けた。
 屋外からの光の差し込み具合を確認しながら撮影が進められ、店主たちは、アクセルバルさんの要求に応じた。喫茶店経営・中村千賀さん(84)は「変身した気分だった」と笑顔を見せた。六九に店舗を構える家具職人・前田大作さん(47)は妻・妙子さん(39)と参加。「クリエイターと触れ合うことができて良かった。子供たちが作品を楽しみにしている」と話した。
 作品は、旧洋裁店に展示される。アクセルバルさんは「六九の人たちを撮影できて良かった。建物には日本の文化を感じる」と成果を強調した。
 芸術祭の総合ディレクター・おおうちおさむさん(51)はおしゃれな人が行き来し、にぎわったかつての六九と、近年、新規出店がある六九に着目。注目するアーティストとデザイナーの共演を、旧洋裁店で企画した。被写体を店主にした点について「今回は街の人に参加してほしいと考えた。イベントを共有したい」と話していた。