政治・経済

受託業者に賃金改善促す 松本市が公契約条例骨子案 6月提案へ

 松本市は8日、市が発注する工事や業務の受注・受託業者に対し労働環境を守るよう求める公契約条例の骨子案を、市議会総務委員協議会に示した。最低賃金に近い給料で働く人の割合が多い清掃、警備などのサービス系の改善に主眼を置き、業者に「労働環境報告書」の提出を義務付ける。今年の6月定例会に条例案を提出する。

 予定価格10万円以上のサービス業務委託のうち清掃、警備、電話交換・受付、宿日直の4種類、予定価格1億円以上の工事請負、公募による指定管理業務を「特定公契約」と位置付け、下請け業者も含めて労働環境報告書の提出を義務づける。
 市は報告書で最も賃金が低い労働者の時給単価などをチェックし、関係者が窓口で報告書を閲覧できるようにする。条例違反、虚偽の報告などがある場合は受注者に是正を求め、応じない場合は入札参加資格を停止、公表する。労働者の相談窓口も設置する。
 建設業の賃金水準は改善している一方、サービス系は厳しい。県が令和3年に行った庁舎の清掃・警備・設備管理業務の賃金実態調査では、最低賃金水準の給料で働く被雇用者の割合が33%、清掃業に限ると55%と過半数を超えた。松本市の業務委託契約では落札率が50%を下回る事例もあるといい、契約管財課は「労働環境が大丈夫か心配になることもある。最低賃金をチェックしたい」とする。
 市によると、特定公契約に当たる工事は昨年度実績で17件、業務委託は127件あった。市は骨子案のパブリックコメントを経て6月定例会で条例を制定・施行し、10月から労働環境報告書の提出を求める方針だ。県内では県と長野市が同条例を定めている。