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御前崎中 王滝へスキー 山と海の生徒交流続く 王滝中休校 形変え

スキー板を履いて平らな場所を歩く初心者の生徒

 太平洋に臨む静岡県牧之原市の御前崎中学校1年生102人が24日から2泊3日の日程で、王滝村の御嶽スキー場でスキーを学んでいる。生徒数の減少で昨年度末に休校した王滝中学校と59年間育んだ交流が、形を変えて途絶えることなく続いた。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりに来村し、ゲレンデには生徒の歓声が響いた。

 初心者と経験者に分かれて腕を磨いた。初心者の生徒は、麓にある「ロッヂ三笠」前の平らな場所をスキー板を履いて歩くところから始めた。雪が風に舞う氷点下8度の寒さだったが、矢野大空君(13)は「楽しくて熱中していると寒さは感じない。リフトに乗ってゲレンデをきれいに下れるようになりたい」と意気込んだ。
 古地隆校長は「保護者の中には王滝でスキーを楽しんだ卒業生も多い。特色ある学習として(王滝中休校後も)残してほしいという声があった」と話す。「静岡でも授業でスキーができる学校はなかなかない。村のサポートがあってこそだ」と感謝した。
 御前崎中などによると、当時の両校長が全国校長会で意気投合し、昭和38(1963)年に山と海の交流が始まった。御前崎の生徒はスキー体験で毎年来村するようになったという。
 29日には2年生121人が訪れ、編入先の木曽町中学校(木曽町)に通う王滝村の中学生も加わって交流する予定だ。村教育委員会の森本克則次長は「半世紀以上続いた交流を何らかの形で残していけたらと思っていた。訪れてもらえたのはありがたい」と歓迎していた。