地域の話題

「絆の炎」空焦がす 松本上村井 最初で最後の三九郎

宅地化される上村井の農地で行われた三九郎

 松本市村井町の今春から宅地造成が予定されている「上村井」の農地で15日、小正月の伝統行事・三九郎が行われた。地権者の一人の三澤雄三さん(50)=村井町南4=が個人で企画したが、村井町町会や地元消防団が協力して盛大に行われ、約150人の地域住民が集って楽しんだ。

 宅地化される約6.5ヘクタールの農地の一角に大きなやぐらが組まれ、近隣住民が寄せた多数のだるまが飾られた。三澤さんはあいさつで「上村井はかつて繭の集積地として栄え、田川高校の辺りにあった泉の池から村井駅まで独自に水道を引いていた。それがこの場所を通っていた」と一帯の歴史を紹介し、協力に感謝した。
 消防団がポンプ車のかねを鳴らし、参加者全員で手を合わせて一年の平安を祈願した。やぐらに火を付けると勢いよく燃え上がり、だるまがはじける大きな音にどよめきが起きた。子供たちは繭玉を枝先に付けたヤナギを持ち、焼いて食べるのを楽しみにしていた。
 例年は地元の子ども育成会が田川の河川敷で三九郎を行っているが、今年は新型コロナウイルスの影響で中止となった。この農地での三九郎は最初で最後だが、三澤さんは「こんなに大勢集まるとは。村井町の結束力を感じる」と喜んでいた。