地域の話題

被災地の今 生の声聴く 山形村 岩手県山田町とオンラインで 復興支援へ思い新た

岩手県山田町からの生の声に耳を傾ける参加者たち

 東日本大震災の被災地支援と交流を続けるボランティア団体「東日本大震災『山形村からできる支援』を考える会」が4日、山形村のデイサービスセンターいちいの里で、被災地の今を聴く集いを開いた。岩手県山田町とオンラインでつなぎ、同町の社会福祉協議会職員・阿部寛之さん、震災語り部ボランティアの立花正男さん、漁師の福士清和さんの3人が、被災当時の状況や復興が進んだ町の様子、町や自身の今後の展望を語った。

 町では津波で海に近い集落の約5割が浸水、大規模な火災も発生し死者・行方不明者は町人口の4・3%に及ぶ825人に上った。阿部さんは、生活再建やコミュニティー再構築に向けた支援を紹介し「復興が進んでも被災者の心の傷は残り続ける。行政とも連携し関わり続けていきたい」と報告。聴講者には「ぜひ町に来て、今の様子を見てほしい」と呼び掛けた。立花さんは震災の教訓から「お茶を飲んで楽しんでいる5分後に災害が襲ってくるかもしれない。災害は目の前にあるということを忘れずにいてほしい」と願った。
 福士さんは、考える会が定期開催する三陸産海産物の販売会で自身が養殖したカキやホタテを提供。「『おいしい』の言葉がエネルギーになる」と話した。
 村内外の25人が熱心に聴講した。震災後、山田町でボランティアをした村内の上条祐一郎さん(55)は「被災地の声を聴き、あらためて震災や復興の歩みを思い起こすことができた」と話した。
 考える会の田村守康代表は「震災当時に感じた気持ちを一人一人が思い出し、地域の防災にも役立ててほしい。山田町との縁を大切に長く活動を続けたい」と話している。