政治・経済

山形で寒晒しそば作り

寒中の沢にそばの実を浸す会員たち

 山形村の20~40代の若手そば職人や生産者8人でつくる「日本一のそばの里を創る会」(上條哲夫代表)は、真冬の川に実をさらした「寒晒しそば」作りに励んでいる。特色あるそばの魅力を発信し村を盛り上げていこうと3年前から取り組み、毎年改良を考えながら進めている。今年は前年よりも標高の高い上流域で村内産の玄ソバ約270㌔を浸水させた。6月にも会員の店舗で提供する予定だ。

 浸水場所は、唐沢そば集落から清水高原に至る中腹の横吹沢。集落を流れる唐沢川につながる沢だ。前年に浸水させた唐沢川のポイントより約160㍍標高が高く、約2㌔上流を選んだ。
 今月中旬、会員が浸水作業をし、玄ソバを十数個の袋に分け入れ水温3度以下の川に沈めた。約1カ月流水にさらした後、2月上旬に引き上げて乾燥させ、地域の人に味わってもらう。凍てつく寒さの中だったが会員は「よりおいしいそばを提供したい」「上流域で味に変化が出るか楽しみ」と期待を膨らませた。ソバは唐沢そば集落の遊休地を借りて会員が栽培・手刈りした品種「乗鞍在来種」と、会の一員・竹田の里が生産した信濃一号を使う。江戸時代に村が高遠藩領だったことから、会員が高遠に伝わる伝統の寒晒しそばを学び始めた。過酷な環境にさらすことでソバの生命力が刺激され、でんぷんが糖化して甘みが増すといい、毎年味わった人に好評だ。会副代表でそば処木鶏を営む塙和貴さん(41)は「山形のそばと村の魅力を発信したい。楽しく継続し、村の方と一緒にできる活動にも発展させたい」と話している。