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安曇野の絵本美術館「森のおうち」開館30周年で4つの企画展

松本市波田産のスイカなどが登場する作品が並ぶ「たかおゆうこ絵本原画展」

 安曇野市穂高有明の絵本美術館「森のおうち」は29日、開館30周年を迎える。平成6(1994)年に開館して以降、ゆかりの深い絵本作家らに焦点を当てた企画展4本を周年記念として催し、運営の礎を固める。27~29日の3日間は特製缶バッジを特典に用意し、来館者を歓迎する。

 絵本作家・たかおゆうこさん=東京都出身=の原画展を7月1日までを会期にスタートした。たかおさんがスイカやクルミなど県内産地を取材に訪ね、創作世界を広げた『ちいさなふたりのいえさがし』など5作品計約70点が並ぶ。異なる素材を組み合わせるコラージュに作風があり、米山裕美学芸員は「ここまでこだわるのかという作家の息づかいを伝える当館らしい展示になった」とPRする。
 同館は酒井倫子名誉館長(85)が、「生きとし生けるものの生命の大切さ平等さ」を訴えた宮沢賢治の世界観を運営指針の基軸にオープンさせた。開館後初の企画展を飾ったイラストレーター・小林敏也さんが描く賢治作品の原画展(10月~来年1月)で、周年記念企画展を締めくくる。
 たかおさんの原画展に続き7~9月には、画家・いせひでこさんを取り上げる。周年記念の幕開けとなる企画展(会期終了)で紹介した塩尻市出身の医師で画家の江口みつおきさんと並び、同館の運営を開館時より支えてきた作家だ。
 酒井名誉館長の長女・原田朋子館長(58)へ代替わりを果たし1年の節目ともなる。絵本美術館に併設するコテージは、デジタル機器と距離を置き心身を癒やす「デジタルデトックス」をキーワードに、森にたたずむ立地を生かす宿泊事業へ、イメージ刷新に着手した。ウエディング事業は、コロナ禍前の人前・パーティー様式に変わり需要が高まる「ロケーションフォト」の取り込みを図る。原田館長は「地元内外から足を運んでいただける策を打ち出していきたい」と話す。

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