地域の話題

松本の宿泊施設利用 ホテル増えても夏場は堅調

新規開業を含め多くの宿泊施設が集まる松本駅前

 「満室」「残室わずか」。宿泊予約サイトで松本市内の宿泊施設を検索すると、夏休み期間は週末を中心に予約が取りにくい状況となっている。市街地では新型コロナウイルス感染拡大と前後して宿泊施設の新規開業が相次ぎ、客室数が1.4倍に増えた。関係者はそれでも各施設の利用が堅調なことに安堵し、入り込みが秋の観光シーズン、冬の閑散期まで続くことを願っている。

 アルピコホテルズが運営するホテルブエナビスタ(松本市本庄1)、美ケ原温泉翔峰(里山辺)といった宿はこの夏、客室稼働率が9割程度に回復、コロナ禍前の繁忙感が戻った。お盆期間は温泉宿を中心に満室の施設が多い。国内の観光客の利用が戻ったことに加え、同社経営企画室は「春に急増した外国人観光客の入り込みが一服することを心配していたが、夏も順調」と喜ぶ。
 松本駅前では令和3年にたびのホテルlit(深志1)、4年に御宿野乃(同)と、比較的大きなホテルの開業が続いた。コロナ前に開業したものと合わせてエリアの客室数は1000室近く増えた。
 それでも利用が堅調な点について、ホテルニューステーション松本の小林磨史社長は「宿のバリエーションが増えたことで、より多くの観光客をひきつけられるエリアになった」と分析する。宿泊費が急騰している都市部と比べ、地方は値上げをしてもまだ割安感があるといい、外国人観光客を呼び込む一因になっているという。
 ただ、市街地のあるゲストハウスのオーナーは、ホテルの数が増えた影響を感じている。この夏は満室の日が多いが、設備が充実するホテルと比較して宿泊先を決める人が増えた。「秋、入り込みが減る冬に向けてもう一度、売りを考える必要性を感じる」と話した。
 空いている宿がない場合について、小林社長は「予約サイトが満室でも当日受付用に客室を取ってあるところも多い。宿に直接聞いてみるのも一つの手」とアドバイスする。

連載・特集

もっと見る