政治・経済

安曇野市 洞合の太陽光計画を不認定 自然景観は文化的財産

 安曇野市三郷小倉の黒沢洞合自然公園近くの森林で計画されている太陽光発電施設の建設について、安曇野市は9日、事業を「不認定」とした。広範囲にわたる樹木の伐採で景観が著しく損なわれるとし、周辺住民の理解が得られていないことも理由に挙げた。事業を巡っては地元住民らから反対の声が上がり、約6000人分の反対署名が集まっていた。

 兵庫県伊丹市の建設会社が計画を進め、公園北側の民有林約6000平方メートルを伐採し、太陽光パネルを設置するとしている。建設予定地の立地や建設規模から、市の土地利用制度では地元説明会の開催が必須となる「特定開発事業」に当たり、令和3年に住民向けの説明会が2回、4年4月に公聴会が開かれ、建設会社は11月に市に対して特定開発事業の認定申請をしていた。
 市は「市の適正な土地利用に関する条例」に照らし▽公園周辺の景観は貴重な文化的財産で、その重要性と比較して、建設計画の実施はやむを得ないものではない▽申請者は再度の説明会や資料提示といった住民らの要望に応えず、理解を得るに至っていない│と判断した。市土地利用審議会は先月、樹木の伐採で土砂災害の危険性が高まることなども考慮し、「認定すべきではない」と結論付けた。
 特定開発事業の認定は市長決裁となる。太田寛市長は市民タイムスの取材に対し、「公園一帯の自然は教育資源としても活用できる。地元住民や子供たちのために残すべきと考えている」と話した。
 署名活動を展開した、住民有志でつくる「黒沢洞合の里山を未来の子どもたちに残す会」の大浜崇代表は、不認定を受け「公園一帯の環境や景観が、市民にとっても大切な場所とされたのがうれしい。今後も守っていけるよう、市も考えていってもらえれば」と願っていた。

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