政治・経済

塩尻市、出生数過去最少更新へ 本年度12月まで323人

 塩尻市の本年度の出生数は12月末時点で323人となり、過去最低だった昨年度の451人をさらに下回る見通しだ。平成30(2018)年度以降は連続して減少しており、ここ数年は新型コロナウイルス禍という特異事情があるものの、市健康づくり課は「今後も減少傾向は続く」とみて、動向を注視している。

 昨年度の12月末時点の出生数は346人だった。1カ月の出生数は20~40人台で、昨年度、本年度ともに50人を超えた月はないという。月平均30人が出生すると想定しても本年度は、残る3カ月で前年度の数字に追いつかない見通しだ。
 市の出生数は平成20年度までは600人台だったが、減少傾向を続け、30年度に500人を切った。ここ数年は、コロナ禍の「出産控え」もあったとみられる。
 桔梗ケ原病院が平成21年3月末に産科を休止し、周産期医療が手薄になっている。市内に分娩を扱う医療機関がなく、松本医療圏の安心安全な妊娠出産を支える医療体制を提供する「松本大北地域出産・子育て安心ネットワーク協議会」に参加している。
 取扱件数の激減や産科医不足から、松本市が松本市立病院の分娩中止を検討すると公表し、出産を取り巻く環境は厳しさを増している。塩尻市民が市立病院で出産する割合は本年度、12月末時点で7.4%と5年前に比べ6ポイント落ち込んでいる。
 子育て支援を重点政策とする百瀬敬市長は、「産科医療・婦人科をさらに充実」との公約を掲げる。社会経済活動を支える人口維持と病院などの生活基盤施設の堅持には、環境改善の総合的な政策展開や、近隣自治体の連携強化も必要とみられる。

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