地域の話題

松本のジャズ喫茶・エオンタ半世紀 名プレーヤー招きライブも

店の歩みやジャズの魅力を語る小林さん

 松本市大手4のジャズ喫茶・エオンタが26日で開店50年を迎える。店主の小林和樹さん(71)=安曇野市=はビル・エバンス、チック・コリアら名だたる奏者を松本に招きライブを開催。松本を世界のジャズが響く街にした存在の一人だ。大音量で洗練された曲が流れる店内には、地元だけでなく国内外から幅広い年代のファンが訪れている。

 小林さんは静岡県三島市出身。ジャズとの出合いは中学生の時でエリック・ドルフィーを聴いて「こんな音楽があるんだ」と衝撃を受けた。松本深志高校在学中は市内の喫茶店でジャズやロックに浸った。卒業後に上京し、乳業会社で働きながら仏語学校で学んだ。中野駅近くにあったジャズ喫茶にも通った。
 松本に戻った後「そんなに早くやるつもりはなかった」というが、資金や場所など条件がそろい21歳で開店。手持ちの機材、手持ちのレコード約300枚で始めた。
 入り口に通じる階段の壁には、小林さんが招き、松本で演奏して来店した演奏家のサインがひしめき合っている。「皆それぞれすごいインパクトを残した」と振り返る。中でもビル・エバンス、ヨアヒム・キューン、スティーブ・キューンらの名を挙げ「その時の音がいまだに出てくる」と語る。
 スピーカーは「アルテックA7」を改造して使用。レコード4000枚、CD2500枚を所有する。近頃は東欧、北欧、ドイツのジャズに注目。「民族、音楽。ジャズはいろいろなものが混ざり合ってできた。そこが魅力」と捉える。飲食メニューも充実し、中でもコーヒー目当てに通う人も。来店した若い人から、名奏者に対する反応を聞くことも楽しみにしている。