連載・特集

2024.3.19 みすず野

 松本市長選挙の開票結果に、平成4(1992)年の市長選挙が昨日のことのように思い出された。新人の有賀正さんが、5期目を目指した和合正治さんを破って初当選した。その差わずかに92票。開票100%まで当落が判明しなかった◆今回、臥雲義尚さんは477票差で当選を果たした。激しく追い上げた菱山晋一さんは、松本パルコの後利用をめぐり、現職批判を強調した。具体的な数字が伴うわかりやすい問題で、有権者の関心を引き付けたがわずかに及ばなかった◆平成4年は現職の落選と激しかった選挙戦を反映するなどして、選挙後、市役所内の混乱もあったと記憶する。今回はそうした要因はないが、当選したとはいえ、薄氷を踏むような勝利だ。対立候補の主張にも、改めて目を通してほしい◆最も強いのが2期目の選挙だとよくいわれる。それにも関わらず厳しい接戦になった今回の票差は、臥雲さんに期待した市民の絶妙なバランス感覚の結果かもしれない。「勝ってかぶとの緒を締めよ」という。戦いに勝っても、油断することなく心を引き締めよとの戒め。2期目のスタートは、かなりきつめに緒を締めて臨んでほしい。