連載・特集

2024.3.12 みすず野

 報じられたニュースが、多くの人をうれしい思いで満たしてくれることがある。できればそういう記事だけで紙面を構成したいと願っても、そんなわけにはいかないのは毎日の新聞を読めば誰でもわかる。昨日は、そんなうれしいニュースが遠く海外から届いた◆米国・ロサンゼルスで行われたアカデミー賞授賞式で、松本市出身の山崎貴監督の「ゴジラ―1.0」が、日本映画として初めての視覚効果賞を受賞した。ニュースを伝えるテレビ画面には、山崎監督の受賞の言葉と喜びにあふれた映像が流れた◆昨年秋、撮影場所になった岡谷市役所旧庁舎を監督が訪れた。小欄でそのとき書いたが、駆け出しのころ毎日のように足を運んだ場所だった。その映画が同賞受賞という快挙を成し遂げた。ゴジラの映画が製作されるようになり、今年は70周年だそうだ◆山崎監督は、受賞のコメントで「この場所に立つことすら想像しなかった」と語っていた。勝手な推測を許してもらえれば、映画少年だった監督にとって、おそらくこれまでで最高の場所に立たれた日だったろう。その日、ふるさとは、受賞を祝うように朝から青空が広がっていた。