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松本養護の生徒手作り品展示販売 空穂記念館に常設コーナー20年

受付横に常設される展示販売場所と、納品に訪れて現場を見学する生徒たち

 県松本養護学校(松本市今井)の高等部作業班が、手作りした陶芸や手芸を展示販売する常設コーナーが、窪田空穂記念館(同市和田)にある。設置されたのは平成15(2003)年。素朴な味わいの一点物が来館者を和ませ、20年にわたって定着してきた。今月初めには手芸担当の生徒たちが納品を初体験し、製品を介した地域とのつながりを深めた。

 受付脇の棚が常設場所だ。並ぶのは陶芸の皿や茶わん、「うつぼ」と刻印した本革しおり、ブックカバー、刺し子の布巾など。手作りならではのぬくもりあふれる製品ばかりだ。価格の手頃さもあり、土産や記念に買い求める来館者が後を絶たないという。ガーゼハンカチを購入して使う職員の會田美保さんは「素材もデザインも良くて使いやすい。愛着がわく」と話していた。
 同館が学校に話を持ちかけ、15年12月に展示販売を始めた。歌人・窪田空穂や作品を紹介する文学館として書や活字が多い館内で、来館者が「鑑賞後に一息つく場所にもなっている」(関係者)。
 今月5日には手芸班の生徒11人が来館し、製品を直接納品した。どんなふうに売られているか現場を目にすることが「彼らの励みになるはず」と今溝晶子教諭は話す。2年生の関口北都さんは「自分の作ったものが並ぶ様子を見られてうれしい。今度、個人的にも来てみようかな」とはにかんだ。
 栗田正和館長は「作り手一人一人に会い、心を込めて作る姿が目に浮かんだ。量産品とは違う良さを来館者に感じてもらい、生徒たちにも記念館に一層親しんでもらいたい」と話した。

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