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「白骨温泉の噴湯丘と球状石灰石」を観察しやすく 案内板やデッキ新設

新設されたデッキから一望する噴湯丘と石灰華の景色

 松本市安曇の国特別天然記念物「白骨温泉の噴湯丘と球状石灰石」を適切に保存・活用していくため、市が令和2年度から進めていた整備事業がこのほど完了した。案内板や観察デッキが新設され、白骨温泉の成り立ちを伝える貴重な自然の造形を、より身近に観察できるようになった。

 白骨温泉の乳白色の湯は湯に溶けた炭酸カルシウムによるもので、炭酸カルシウムが堆積してできた白い石を「石灰華」と呼ぶ。噴湯丘は、温泉水の噴き出し口に石灰華が沈殿し続け丘状になったものを指す。
 白骨温泉観光案内所から車で2分(約600メートル)の場所に新設されたデッキからは、全国的に珍しい大量の噴湯丘が観察できる。以前は林の中に埋もれていたが、支障木や土砂の撤去を行った。デッキまでの道中に説明板や案内板を設置し、観光案内所には噴湯丘と並ぶ天然記念物・球状石灰石を展示している。
 炭酸カルシウムの源は太古の熱帯のサンゴ礁からできた石灰岩で、石灰岩は2億年以上にわたる地表の動きや隆起によって、現在の白骨温泉にたどり着いたとされる。白骨温泉に残る100以上の噴湯丘や、うずたかく堆積した石灰華の地形は、大昔に大量のお湯が湧き出していた証拠だ。成り立ちを知ることで景色を楽しめるのが白骨温泉の魅力といい、市教育委員会文化財課の百瀬耕司係長は「湯治や、上高地・乗鞍の観光と併せて、白骨温泉をより深く知ってほしい」と呼び掛ける。
 白骨温泉の成り立ちを伝えるリーフレットも3月に刷新した。市のYouTubeチャンネル・松本のシンカでは、信州大学の大塚勉・特任教授による解説動画も公開している。