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農業法人・あぐりん設立へ 安曇野・明科の屋根工事シンシュウカワラ

耕作予定の田んぼと平林社長(左)、森田さん

 安曇野市明科中川手の屋根工事業・シンシュウカワラの平林直也社長(53)=穂高=らが、安曇野の豊かな田園風景を守る一端を担おうと、遊休農地を借りて耕作する農業法人をつくる。まずは稲作を展開し、生け花素材や建築資材などで注目されているフトモモ科の樹木・ユーカリの栽培も構想する。地域の雇用につなげ、同社従業員の定年後の受け皿にもする考えだ。

 農業法人・あぐりんを今月中に設立する予定。シンシュウカワラの近隣地に事務所と作業施設を建設する準備を進めている。地元で任意農業団体を仲間と運営してきた農業・森田信さん(69)=明科中川手=が相談役として協力している。
 田園風景の守り手である農家は高齢化が進んでおり、明科地域でもリタイアする人が増えている。農地が遊休化する一方、自分では耕作できないが先祖伝来の農地を継続したい―と希望する農家も多いという。あぐりんが引き受けるそうした農地は50ヘクタールが目標。森田さんは「おいしい安全なお米を作りたい。付加価値も高めていきたい」と思い描く。
 森田さんや平林社長によると、明科地域の国道19号より東側の地域では5~6年前から鹿の食害が深刻で、西側の地域にも出没するようになった。ユーカリは有毒で鹿が食べないことから、森田さんは「ユーカリを植えていくらかでも利益が出れば、農地を(荒廃させずに)維持管理できる」と期待する。
 経営が軌道に乗った後は野菜や花きなどの栽培も見据える。〝屋根〟から〝大地〟への異業種挑戦で、平林社長は「チャレンジには夢があり、目標に向かって達成した喜びがついてくる」と、意気込みを語っていた。