政治・経済

企業人材確保 支援を拡充 塩尻市の補助制度 働き手も対象

人材関連の補助金拡充の資料を示す市担当者

 塩尻市は本年度、市内中小企業の人材採用活動を後押しする「人材確保支援事業補助金」と、市内に定住して地域企業に就職した若者を対象とする「奨学金返還支援事業補助金」について、補助内容や要件を拡充した。新型コロナウイルスの感染症法上の分類引き下げからもうすぐ1年となる中、経済活発化に伴い企業の人手不足は深刻化している。企業、働き手それぞれを対象とする両補助金の拡充を通じ、地域に人材を呼び込む。

 人材確保支援事業補助金は、有料求人情報サイトの掲載手数料の一部を助成している。新たに、有料人材紹介サービスの成功報酬や、オンライン上で開催される合同企業説明会の出展料を対象に加える。補助率は2分の1(上限10万円)。本年度当初予算に150万円を計上した。
 奨学金返還支援事業補助金は、奨学金の返還を年額18万円、5年間で90万円を上限に補助している。これまでは松本圏域3市5村の企業に就職した人を対象としてきたが、就職先のエリア指定を撤廃した。より広域的な視野で人材が地域に定着することを狙う。本年度当初予算に279万円を計上した。
 市商工課によると、コロナ後は市内中小企業の人手不足が顕著で、事業者から「人を募集しても集まらない」「就職面接会に参加しても自社ブースに求職者が1人も来ない」などの声が聞こえるという。同課の村上洋一課長補佐は「人材の奪い合いが激しくなっており市としても危機感を持っている」と話す。
 こうした状況の中、市は将来を見据えた地域の人材獲得・育成に注力していく構えだ。第6次総合計画(令和6~14年度)では「人的資本経営の推進」「人材確保」など、第5次計画にはなかった文言を盛り込み、関連施策を推し進める方針だ。村上課長補佐は「人材分野の課題解決に、これまで以上に力を入れて取り組んでいく」と力を込める。

連載・特集

もっと見る