政治・経済

塩尻市内の空き家 8割が旧耐震基準で強度不十分

 塩尻市が実施した空き家の実態調査で、市内には空き家が1092件(2月1日時点)あり、うち昭和56(1981)年の建築基準法改正前の旧耐震基準しか満たしていない物件が867件と、約8割に上ることが分かった。所有者に適正管理を促し、改修による利活用の促進や解体除去の跡地利用に誘導することで、耐震性が十分ではない古い空き家をどう解消するかが課題だ。

 このほどあった不動産関係者や住民代表でつくる市空家等対策協議会(会長・百瀬敬市長、委員9人)の会合で報告された。空き家解消対策を講じてはいるが、市全体の空き家は増え続け、平成25(2013)年度の630件から1・7倍になった。
 空き家について、市は「個人が居住を目的に建築し、1年間居住実態がない戸建て住宅」と定義している。
 実態調査は令和3~5年度に市内全10地区で行った。地区別では楢川が208件と最も多く、地区内の住宅に占める割合も24%と最も高い。旧耐震基準の住宅(190件)が大半だった。
 昨年12月に改正空家特措法が施行され、管理不全の空き家への対応が厳しくなっている。市は法改正に対応した「第2期市空家等対策計画」(令和6~10年度)を策定中で、ここ数年の空き家バンクの成約数や解体実績から年間60件の解消を目標に掲げる方針だ。
 新年度には、平成28年度から続く「市移住・定住促進居住環境整備事業補助金制度」を変更する。空き家を購入し改修や除去する補助の対象を、市外からの転入者のみから、市内在住者にも広げる。空き家の跡地の情報も追加収集して提供する「市空き家・空き地バンク」を運用する。建築住宅課は「空き家の発生抑制に努め、発生後もすぐに対応できるようにしたい」としている。