地獄をのぞいてみませんか? 松本市立博物館が特別展
2025/07/05
後で読む
松本市立博物館の夏の特別展「地獄の入り口─十王のいるところ」が5日に開幕する。現世と来世のはざまで冥界の10尊が死者を裁く仏教の十王信仰や、衆生が輪廻転生する六つの世界「六道」のうち最下層に当たる地獄について、松本市内ゆかりの文化財など約150点を並べて紹介する。同館によると十王に関する資料に焦点を当てた展示会は全国でも珍しく、市内各地の十王座像が一堂に会するのは初めて。

4日にオープニング式典と内覧会があり、地獄をイメージした真っ赤な展覧会場が関係者に公開された。
閻魔に代表される十王座像は放光庵(大手5)、牛伏寺(内田)、真光寺(和田)など市内11カ所から出展。木造、石造、険しいもの、素朴なものなど個性豊かだ。死者の衣服をはぎ取り罪を計る奪衣婆や、生前の行いを映し出す浄玻璃鏡、三途の川や血の池地獄が描かれた、市内唯一の肉筆の地獄絵図(奈川・林照寺)なども並べられた。
生前の善行悪行に応じて行われる十王の裁きは、死者の転生先を六道のいずれかに決定すると考えられた。担当の武井成実学芸員は「誰もが避けて通れない死に関する文化だからこそ非常に豊かなものがある。往時の人々がどのように死に向き合ったかを感じ取ってほしい」と話している。
9月1日まで。