2025.7.1 みすず野
2025/07/01
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夏の訪れを告げるような積乱雲を先月は何度も見た。小学生が夏休みの宿題の絵日記に必ず描く雲で子どもの頃は入道雲と呼んだ。夏の強い日差しを受けて、もくもくと大きくなるように見える雲はいくつかの積乱雲が生まれて急速に発達。空を覆うあのような巨大な形になる場合が多い◆『新編空を見る』(平沼洋司著、武田康男写真、ちくま文庫)で知った。関東地方では坂東太郎、京阪地方では丹波太郎など地域で特有な名前が付けられていて、信濃太郎というのもあるそうだ。それだけ親しまれているというわけだ◆その一方で雷雨やひょう、竜巻などの「局地的な気象災害、さらに集中豪雨や線状降水帯を起こすのもこの雲である」という。夏の風物詩なのに災害を起こす雲でもあり、自然の営みのすごさを象徴しているようだ◆きょうから7月。今年は後半へ。梅雨明けは例年より早そうだ。アサガオという花を覚えたりオニヤンマというトンボを知ったり、夏の思い出は他の季節に比べて飛び抜けて多いのではないか。夏休みという宝物のような長い時間があるからかもしれない。その記憶は年を取るほど鮮やかになっていく。