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2025年

2025.6.29 みすず野

2025/06/29
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 アユの塩焼きが食べたい。一度そう思うと止まらないのが食欲。思い出してみると、もう数年食べていない。早速、名称に「鮎」のつく、松本市内の飲食店に出掛けた◆運ばれてきた料理に、待ってましたとばかりに箸をのばす。身をほぐして、骨を取り除いて口に運ぶ。香ばしく焼けた皮も一緒に口の中に入れる。皮に付いていた塩が絶妙なアクセントとなり、口いっぱいにおいしさが広がる。茶色をした身の部分を口に入れると少し苦みがあり、これがまたうまい。しばし幸せな気分に浸った◆アユの友釣りも、この時期の風物詩。おとりを使って自分の領域に侵入したと思わせ、追い払おうとする習性を利用している。始まりは諸説あるようだが、習性をしっかり研究し、この釣り方を考えた人は、すごいと思う。奈良井川は7月12日午前9時に解禁という。清流から自分で釣り上げたアユは、店で買ったものよりも一段とうまいだろう◆芸術家で食通の北大路魯山人は著書『魯山人の食卓』の中で「塩焼きにして、うっかり食うと火傷するような熱い奴を、ガブッとやるのが香ばしくて最上」と食べ方を指南する。次は、そうしたい。

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