2025.6.27 みすず野
2025/06/27
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「そもそも食べものは、商品でも情報でもない。だから、どこかで消費のサイクルに穴を開けたいと思うんです」と、作家、エッセイストの平松洋子さんは語る。対話の相手は、京都大学教授の藤原辰史さん(『酔いどれ卵とワイン』文春文庫)◆買う側、消費する側に居続けていると、気づかないうちに何かにからめとられてしまうといい「一歩抜け出すための近道のひとつは、手持ちの生活技術を増やすこと」だと。青梅を買い、梅干し、梅酢、梅ジャムなどを作ったが、とても楽しく「自分の手で作る行為は、消費者で居続けないための方法、あるいは抵抗の手段でもある」と◆藤原さんは「男とか女とか関係なく、料理をする、台所に立つという技術はもっと重視されなきゃいけない」と応える。いまは「料理をすることを中心に社会を作り直すチャンスでもあると思います」と話す◆忙しい日々。料理に時間を割けない時もある。食にまつわる心配り、思いやり、一手間といった言葉は、圧に変わったり、追い込んだりする。特に家庭の場面では。知らず知らずに縛られてきた言葉にとらわれずもっと自由に。対話はそう助言している。