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新型コロナ5類移行1年 「終息ない」警戒続く 松本市立病院

市立病院の正面玄関に今も設置されている体温測定器

 令和2年から猛威を振るってきた新型コロナウイルスの感染症法上の分類が、5類に移行して8日で1年が経過する。街中でマスクを着用する人は目立たなくなり、海外からの観光客も増加するなど、新型コロナは"収束"した感もある。ただ、新型コロナとの闘いは完全には終わってなく、今も向き合っている人がいる。

 松本医療圏唯一の感染症指定医療機関となっている松本市立病院(波田)は、今も医師や看護師ら医療従事者のマスク着用は必須で、来院する患者にもマスク着用を求めている。病院入り口には体温測定器や消毒液が置かれ、院内で感染が広がらないように細心の注意を払っている。
 同病院感染対策室によると、4年度の新型コロナ入院患者は637人だったが、5年度は295人まで減少し、入院患者がゼロだった日もあった。市立病院は今年3月末で発熱外来を閉鎖し、4月以降、新型コロナの患者を「インフルエンザなどと同等の一疾患」と位置付けて対応している。一方で、高齢者を中心に一定数の患者は入院しており、他の病気を併発して亡くなる患者もいる。
 対策室の池田美智子さん(47)は「新型コロナはまだ収まっていないし、終息することはない」と断言する。新型コロナ専用病床はなくなったものの、今も数人の新型コロナ患者が入院していて、「職員や患者さんに院内でマスクを着用しないでいいと言う勇気は今はない」と話していた。