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松本市美術館で「ブラック・ジャックの世界」 手塚治虫さんの直筆原稿も

作品世界の魅力を伝える「ブラック・ジャック展」

 漫画家の手塚治虫さん(1928~89)の代表作を取り上げた特別展「手塚治虫 ブラック・ジャック展」が13日、松本市美術館で開幕する。同作に絞った展覧会としては過去最大規模で、全243話を抜粋や全ページで網羅。直筆原稿もふんだんに交えて独特の作品世界を紹介しつつ、誕生から半世紀以上を経た現代にも響くメッセージを伝えている。6月2日まで。

 『ブラック・ジャック』は、医学博士でもある手塚さんが手掛けた無免許の天才外科医の活躍を通して命の尊さなどを問いかける医療漫画。昭和48(1973)~58年に少年漫画誌に掲載された。
 展覧会はキャラクターやストーリーの紹介、作品誕生の背景に触れながら、当初読み切りで掲載された4話分と、「カミカイ」としてえりすぐった3話分は全ての直筆原稿を展示。このうち連載最終話といわれる第229話は松本限定となる。漫画のこまを拡大したパネルと原稿を組み合わせたコーナーは、140話分を10のテーマごとに並べたり、医療の本質に迫る63話分を壁面いっぱいに配置したりし、作品世界に浸れる空間を構成している。
 昨年、作品誕生から半世紀の節目を記念して全国巡回展として東京でスタートし、松本が2会場目となる。市美術館など主催、市民タイムスなど共催。12日はオープニング式典と関係者向けの内覧会があり、手塚さんの長男で手塚プロダクション取締役の眞さん(62)も来場した。
 眞さんによると、手塚家のルーツは諏訪大社下社の神職。「先祖のいた信州でブラック・ジャック展ができ、(父は)非常に喜んでいるのでは」といい、「何度も足を運び、その都度いろいろな発見をしてもらえたら」と願っていた。

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