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メダルリボンに天蚕糸 6月の安曇野ハーフマラソン

穂高天蚕糸を使ったメダルリボンとガラス製のメダル(左から1位、2位、3位)

  安曇野市で6月2日に信州安曇野ハーフマラソン(実行委員会主催)が行われる。第10回記念でハーフマラソンの部の男女各1~3位に贈られるメダルには、穂高地域の伝統産業・天蚕糸の布を使った首掛けひも(メダルリボン)が特別に用意される。市天蚕振興会が製作を担当し、天蚕糸の魅力が詰まった逸品に仕上がった。

 天蚕糸は、つやのある優美な光沢や希少性などから「繊維のダイヤモンド」と呼ばれている。天蚕糸による織物は丈夫で美しく、親子三代にわたって使えるとされている。
 1位のメダルリボンには100%天蚕糸の絹織物が、2位と3位には天蚕糸入りの絹織物が使われている。天蚕振興会が織った布を埼玉県の縫製職人がひもに仕立てた。1~3位のメダルは例年どおりガラス製で、豊科南穂高のあづみ野ガラス工房で製作された。5~8位には既製品のメダルが贈られる。
 天蚕振興会の田口忠志会長は「メダルのひもはそもそも重要視されないが、今回は価値を付けたということになる。宣伝になって伝統産業振興の役に立てば」と期待する。
 天蚕は野生の蚕(ヤママユガ)で、有明地区で江戸時代に飼育が始まったと言われている。病気の流行や焼岳の噴火による降灰の影響で衰退し、第2次世界大戦で飼育が途絶えたが、昭和48(1973)年に当時の穂高町が農家の協力を得て復活させた。現在は天蚕振興会が伝統産業として守り続けている。