2025.10.31 みすず野
2025/10/31
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 作曲家の青島広志さんは、相手の名前を聞き取りにくくなって5年になると『クラシック漂流記』(中央公論新社)に書いた。50代後半のこと。演奏会後、自分の書籍やCDを販売して、求められればサインをするが、その時に書く相手の名前のこと◆演奏会場のロビーはごった返している。そこで言葉を伝えるには声の強さが必要。まずある程度の声の高さ。次に必要なのは音量。そして相手との距離を考えた明瞭な発音だという◆その上で、最も大切なことは表情と気の持ち方だと説く。この二つに注意すれば、前記の方法は全てクリアできると。しゃべることは自己表現の一つであり「自分の考えを相手に伝えることを、つねに嬉しいと思っていれば、結局は理解してもらえるのだ」と語る◆困っていることもある。名前を尋ねると名前だけ答える人が多いが「苗字と名前で初めてその人を表すのだということを覚えておいて欲しい」とつぶやく。手元にある本は古本屋で入手した。購入したであろう人の名前と、著者のサインが入っている。きっとコンサート会場で求めたのだろうが、こうした本はずっと手元に置いてほしいと願う。
 
						 
             
                                     
                                     
                                     
                                     
                                     
                                     
             
             
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