2025.10.25 みすず野

　新米がうまい。正直に言うと、これまでコメの味に無頓着なほうだった。昨年もおととしも新米を食べていたはずだが、ことしのようにおいしいと感じたことはなかった。コメの品薄状態に端を発して古米を食べるようになり、コメの味にあらためて関心が向いた。古米と比べるのもおかしいが、明らかにふっくらとし甘みが違った◆家人から新米だと聞いたためか、粒の艶が違って見えるから不思議だ。炊きたてだったことや照明の当たり具合もあってだろう。きらきらと光って見えた。こんなにコメをじっくり見たことがないというほど目で楽しんだ後、口に運んだ◆「おコメ一粒一粒の中に神様がいる」。祖母から子供の頃に聞いた。祖母がどうして話し始めたかは覚えていないが、おそらくコメの食べ方がお粗末でたしなめられたのだと思う。１粒残さず大切に食べなさいと。今でもその教えは心に残っている◆スーパーストアの棚からコメがなくなった騒動は、自分の中でコメを見つめ直す機会となった。コメが手頃な値段で食べられるありがたさも一つだ。当然ではない。農家の苦労に感謝しつつコメの味をしっかりかみしめる。