2025.10.24 みすず野
2025/10/24
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芝居の本番中に俳優が「なぁ、客席の年齢層が随分高くないか?」と聞く。共に舞台に立っている俳優で、テレビ番組の「呑み鉄本線日本旅」などに出演している六角精児さんは、150人ほどで満員になる小劇場の客席を見て「確かに」とうなずく(『役者とギャンブル』ちくま文庫)◆客席を埋めているのは明らかに40歳以上と思われる人たち。「極端に言えば演歌歌手や時代劇のスターさんを看板にした商業演劇の大舞台の客席をそのまま移動させたみたいな感じなのだ」という風景◆それもそのはずだとうなずくのは、出演者が二人を除き全員50歳以上の「お世辞にも華があるとは言えないオッサン俳優」たちばかり。「そう、僕らが歳をとるのと同様に客席も歳をとっている」。数年ぶりに地元の小劇場に出て「客席と自分の加齢をしみじみ認識させられたのであった」◆選挙の取材で同じような思いを抱いたことを思い出す。当たり前だが当選を重ねた候補者は初当選時に比べて年を取る。立候補の第一声の会場に集まった支持者も高齢化。候補者とともに支持者も年を取るのである。こうした候補者の選挙結果は大体芳しくなかった。



