2025.10.30 みすず野
2025/10/30
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					小学校1年から4年間、エジプトで暮らした作家の西加奈子さんは、日本食を毎日食べていた。でも野菜は生では食べられず、魚は内臓を除いてさばいて売るなどということはしてくれない。米は石や死んだ虫が混ざり、ピンセットで一つ一つ取り除いてから炊く。それを母親がしてくれた◆何を食べたいか聞かれ、真っ先に答えていたのが「卵かけご飯」。生卵は食べられないため、日本に一時帰国した人が飛行機内に持ち込み、大事に抱えて運んでくれた。貴重なしょう油を垂らした卵かけご飯は「今食べるそれとは、もちろん、全然、全然違っていた」と30人のエッセー集『たまごだいすき』(中公文庫)の「カイロの卵かけごはん」にある◆きょうは島根県雲南市に事務局がある日本たまごかけごはんシンポジウム実行委員会が定めた「たまごかけごはんの日」。卵かけご飯を切り口に、食や自然を考える目的だそうだ◆西さんは、カイロで食べたあの卵かけご飯ほどおいしいものにまだ出合えていないという。食生活や仕事などでは「少しばかりの『不自由さ』というのが、思いがけない幸せをもたらしてくれるものである」のだと。
 
						 
             
                                     
                                     
                                     
                                     
                                     
                                     
             
             
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