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2025年

2025.10.28 みすず野

2025/10/28
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 手拭いは日用品として使われることが少なくなった。その役割はタオルやハンカチが取って代わった。今でも変わらず使われるのは祭りや芸能の場だろうか。すぐ思い浮かべるのは落語の高座。落語家が互いの配り物を使うことが多いそうだ◆ただし手拭いは新品に限る。「糊が落ちた手拭いはシャッキリせず、かたちがつけにくいからだ」(『これで落語がわかる』京須偕充著、弘文出版)という。たばこ入れや紙入れを表現する。手拭いそのものとして汗を拭うしぐさをする。右手に握りしめると、たんかを切ったり自分の気持ちを訴えたりする「一本気な職人の表現にはぴったり」だと。楽屋の符牒は「まんだら」◆名人といわれた八代目桂文楽は、晩年高座で手拭いを用いずハンカチを使った。たばこ入れなどの表現には適切ではなかったが「ハイカラ趣味がなせる業だったのではないか」とみる。純白の絹製だった◆手拭いは木綿を約114センチの長さに切ったものをいうとある(『包み結びの歳時記』額田巌著、講談社学術文庫)。楽しいデザインの手拭いを扱う100円ショップがあったが、最近店頭で見かけなくなってしまった。

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