0000日(木)
2025年

安曇野市が地産地消コーディネーター設置 生産者と宿泊施設・飲食店を橋渡し 規格外農産物の利用拡大へ

2025/07/02
後で読む

 安曇野市は本年度、市内の生産者と実需者(農産物を必要とする事業者)の橋渡し役を担う「地産地消コーディネーター」を独自に設置した。規格外農産物の利用を図る取り組みなどを通じ、学校給食をはじめ宿泊施設や飲食店などで市内産の利用を拡大させる狙い。元JAあづみ職員の三石祥代さん(55)=堀金烏川=が1日付で着任した。
 首都圏アンテナショップへの市内産品の出荷などを担う市の産直センター業務に位置付け、同業務を受託する豊科開発公社(「安曇野の里」内=豊科南穂高)にコーディネーター業務を委託。三石さんが公社との新たな雇用契約で業務を請け負う。
 市が第3次市農業・農村振興基本計画(令和4~8年度)に盛り込む「農業関係人口の拡大プロジェクト」の推進策として新設した。令和2年度実績が24・8%だった「学校給食における地産地消の割合(市内産農産物の使用率)」を最終年度に29%へと引き上げる目標の達成を目指す。
 本年度は、市内生産者や作付け状況を把握し、学校給食向け出荷者の掘り起こしや市内4学校給食センターの献立づくり用に情報提供をする。給食センターへの納品規格にそぐわない農産物について、カット野菜にするといった加工品開発によって用途を広げられるかどうか検証する。
 一方、市農政課が市内生産者と実需者を集め6月に市役所で開いた交流会では、販路拡大に課題を持つ小規模生産者に対し、市内産の通年での少量・安定調達や、規格外を求める飲食・宿泊、小売り事業者からのニーズが相次いだ。安曇野の里にある市有保冷庫を有効活用して、学校給食向けに限らず出荷量を増やす検証も進める。
 JAあづみで生産者と学校給食センター間の食材供給に関わる調整実務を担った三石さんは「景観を守るといった多面的機能を持つ農を次世代へと引き継ぐ役割」と認識している。
 高山英利課長は「コーディネーターを介し、多様な交流や接点、連携を生み出したい」と話している。

着任に先立ち交流会で生産者と情報交換する三石さん。実需者との橋渡し役を担う