明科・龍門渕公園、あやめ公園一帯を再整備するアウトドア拠点構想 軟弱地盤や民地分布など課題が浮上
安曇野市明科中川手の龍門渕公園、あやめ公園一帯をカヌーをはじめとした「東部アウトドア拠点」として再整備する市の構想を巡り、先行きに不透明感が出ている。エリアを調査した結果、河川保全のための法的規制、広範囲にわたる民地の分布、軟弱地盤などさまざまな課題や制約が浮上した。諸条件をクリアし、にぎわい創出が見込める拠点の具体像は流動的で、市は民間から意見や提案を募るサウンディング調査をしている。
昨年3月に策定した東部アウトドア拠点整備基本構想では、河川・公園利用者が使うシャワー室や更衣室、カフェなどを備えた「センターハウス」の新設、カヌーコースのある前川の護岸整備、公園のインフラ整備などを盛り込んでいる。
しかし基本設計の段階に入り、課題が浮き彫りになった。前川や犀川沿いは、工作物設置などの行為に許可申請が必要となる「河川保全区域」。軟弱地盤の改良、民地の取得、汚水処理施設の整備が場合によっては必要になる。総事業費の試算では、合宿所機能も含めると15億円規模に上る。
9日の市議会総務環境委員会では、市政策部が「基本構想では気付けなかった課題、制限がいろいろ出てきた」と説明。判断材料を補うため、サウンディング調査では、民間事業者からセンターハウスの機能や規模、配置、運営方法などについて個別に聞き取りを行う。複数案を検討し、地元関係者と協議の上で年度末には方向性を示す。現時点では数社が参加意向だという。
総務環境委では「条件が多くて十分に意見がもらえるのか」「アウトドアで地域活性化を目指す地元の機運が高まっていない」などの不安の声が聞かれた。児林信治政策部長は「市外の人だけでなく市民も集える拠点を考えたい。見切り発車ではなく、いろいろな話を聞いてしっかりと見極めていきたい」と述べた。
アウトドア拠点の運用開始時期は、構想で示した令和9年度から11年度にずれ込む見通しだ。センターハウスは直営ではなく、指定管理制度や、民間主導の事業運営(PFI)の活用も視野に入れる。
