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2025年

石破首相が退陣表明 各界代表・市民「地方創生、期待したのに…」

2025/09/09
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 石破茂首相(68)(自民党総裁)は7日夜、首相官邸で記者会見し、7月の参院選惨敗の責任を取り退陣する意向を表明した。
 中信地方の各界の代表や有権者からは、石破茂首相の退陣についてさまざまな受け止めが聞かれたが、地方創生を主要政策に掲げた政権の就任1年での退陣を残念がる意見が目立った。
 木曽郡町村会長の向井裕明・南木曽町長は「地方にとっては期待が大きかった。やりたかったことをやり切れないままの辞任は残念」と受け止めた。全国知事会長の阿部守一知事は、自民党の次期総裁選について「人口減少対策など地方を取り巻く課題が山積している。総裁選では日本の将来を見据えて議論を尽くし、責任ある政策を国民に示してほしい」と求めた。
 塩尻商工会議所の小松稔会頭も、地方創生を重視していた石破氏の退陣を「非常に残念」とする。地方の元気の源は中小企業の発展にあるとし、次の政権には「地方創生の問題は官民一体で取り組んでいただきたい」とした。
 松本市の臥雲義尚市長は「衆参少数与党の限界を打破する方策を示せない以上、退陣はやむを得ない。次の政権には、新たな連立を含め、重要政策を実行できる体制を求めたい」とコメントした。
 JAあづみの宮澤清組合長は、退陣について「特に申し上げることはない」とした上で、「コメの問題については再生産が可能な価格になっているとは言いがたい。(次期政権には)安心して米作りを続けられる政策を望みたい」と述べた。
 麻績村で農業を営む男性(76)は「選挙に負けたのだから責任を取るのは当たり前」と、退陣を淡々と受け止めた。コメの価格高騰で、肥料や資材の費用を価格に転嫁できたのはありがたいとしつつ、消費者のコメ離れを懸念し「次期政権には実態を把握して政策に取り組んで」と求めた。
 一方、塩尻市広丘野村の主婦(55)は「石破さんなら何かを変えてくれると期待したが、そうならなかった。誰が総理になっても一緒だなと思った」と冷ややかだ。物価高の収束を望み、「安心して暮らしやすい社会にしてくれる人が首相になってほしい」と話した。
 松本市宮渕2の安井奈緒子さん(35)は、一昨年に家族3人で東京都から移住し、フリーランスとして県内自治体や民間企業と連携して新規事業の推進に携わる。「賃上げや投資を通じて地方に活路を見いだそうとした方向性は間違っていなかった」と石破氏を評価し、「この流れを次の政権でも引き継いでほしい」と要望した。