無線のプロが本気で作ったワイドFMラジオ組み立てキット 夏休みに教室も
世界を相手に活躍した松本市内の技術者たちが、子供向けのワイドFMラジオの組み立てキットを開発した。少年時代にラジオを自作し、ものづくりの楽しさに目覚めた経験を、次世代にも味わってもらいたいと1年がかりで完成させた。夏休みに市内で開く「ラジオ教室」の教材として、組み立ててもらう。

無線機器の世界的メーカー・サーキットデザイン(安曇野市)の元社長で、最高技術顧問の小池幸永さん(74)=松本市井川城=と、同社技術アドバイザーの堀内孝夫さん(74)=同市波田=が中心となって開発した。
ワイドFMラジオは、一般のFMラジオよりも幅広い周波数が受信できる。AM放送をワイドFMで流す取り組みが進んでおり、キットもワイドFM対応にした。部品は複雑だが、子供が組み立てられるように工夫を重ねたという。電波を拾う感度は市販品の10倍あり「無線のプロが本気で作った」と胸を張る。
小池さんと堀内さんは子供のころからの友人で、市内の電子部品販売店・松本電子部品に通い詰めた。同じく店に通い、2人に「中学時代から教えを受けた」という元セイコーエプソン技術者で、松本ものづくり産業支援センター専務理事の赤羽史明さん(69)=同市寿=と、松本電子部品の経営を受け継いだ三島孝博さん(60)=同市巾上=と共に、ラジオ教室を企画した。
4人に共通するのは、今の子供は自分の頭と手を使ってものを作る経験が足りない、という危機感だ。小池さんは「エンジュニア(エンジニアとジュニアを合わせた造語)が育つきっかけになれば」と願っている。
教室は8月3日午後1時から、松本市和田の松本ものづくり産業支援センターで開く。松本電子部品が主催、同センターと、サーキットデザインが共催する。参加費は2000円で定員は12人。希望者は23日までに申し込む。詳細を松本電子部品のホームページで案内している。