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2025年

安曇野市穂高有明の理容店 50年前の新聞折り込みチラシ飾る 世相・物価・暮らし伝える

2025/07/05
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 安曇野市穂高有明の理容室「いやし工房萌木」の店内に、地域の小売店が半世紀前に出した新聞折り込みチラシが飾られている。現在は存在しない商店ばかりだが、当時の世相や物価、地域の暮らしぶりが垣間見える貴重な「資料」だ。今年は昭和100年の節目。来店客が「この店行っていた」「あったあった、この商店」と懐かしんでいる。
 食料品、衣類、家電製品などの特売を伝える1970年代のチラシで、12枚が店内に張ってある。店主の森桂一郎さん(54)が自宅で見つけたり客から譲り受けたりした。JR豊科駅前にあったという洋品店「ファミリーファッション蔦屋」のチラシは、裏が白紙のため森さんの母親がメモ帳代わりに使っていた。昭和52(1977)年7月に森さんが父親の似顔絵を描いたため、母親が制作年を記してずっと取っておいたという。森さんは「隣にあったおもちゃ屋さんに親と行った」と振り返る。
 旧豊科町や旧穂高町などの商店が同年2月に合同で出したチラシには、白玉うどん4玉100円、ギョーザ10個110円、子持ちタラ1尾200円などと紹介されている。JR松本駅前にあったという小野電気商会のチラシは、昭和45(1970)年に「カラー・ステレオフェア」と銘打ってテレビやオーディオ機器を紹介。写真のブラウン管テレビは家具調で、特価11万9000円~15万7000円と高価だった。
 森さんの母が旧豊科町で始めた理容店のサインボール(ガラス製看板)や昭和41(1966)年の創業時に近所に配ったチラシ、松本市にあった「松筑牛乳」の牛乳配達箱(木製)などもある。
 森さんは「(1970年代は)自分たちの親世代が頑張っていた時代。昭和100年の節目に懐かしんでもらえたら」と語る。

折り込みチラシが飾ってある店内と森さん