コンテンポラリーダンスの先駆者・山田せつ子さん 初の松本公演10、11日
2025/07/03
後で読む
国内のコンテンポラリーダンスの先駆者・山田せつ子さん(74)=東京都=が10日と11日、松本市深志3のまつもと市民芸術館でソロ公演「いまここにいます」に臨む。小中学校時代を上松町や松本市で過ごしたゆかりの地での初公演を前に、思いや意気込みを語った。
驚いて肩が上がったり、子供が跳ねたりといった日常の身ぶりを採集し、意味を持たせないよう抽象化してダンスを創作する。動きに意味があると説明的になるとし「見る人の想像力で自由に解釈してもらえることがダンスの豊かさ」と話す。
公演テーマにはありのままを見てもらう意味を込め、昨年の東京公演を成功させた。同館の芸術監督の一人、倉田翠さんの恩師という縁で松本公演が実現し、「題材は難しいものでなく日常的なこと」と気軽な鑑賞を呼び掛ける。日々胸を痛める各地の戦争に対し「向き合う気持ちも抱いて踊りたい」と思いを語る。
山田さんは長野市生まれで、4年生から通った上松小学校を卒業後、松本市へ転居し信州大学付属松本中学校で1年間学んだ。当時、女鳥羽川沿いを歩いて下校し「歌ったりしながら帰った時間で想像力が広がり、ものづくりの原点になった」と懐かしむ。打ち合わせに訪れた際に歩いて街の変化を感じ「昔のものが残る中で若い人たちが自由なことをしている感じが松本独特」と声を弾ませた。
芸術館についても、市民に舞台芸術の魅力を広げる機会を積極的に提供する方針に「リスペクト(敬意)がある。そういう場所で踊れてうれしい」と話している。公演は10日午後7時と11日午後2時の2回。チケットは一般3000円で、同館チケットセンターなどで扱う。