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2025年

安曇野の風景保存継承へ 市と市教委が本年度地域計画を策定

2025/06/03
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 安曇野市と市教育委員会は本年度、文化財の保存活用マスタープラン「市文化財保存活用地域計画」を策定する。集落景観などの「地域の宝」を多様な主体が関わって継承する取り組みを強化し、過疎化や少子高齢化による消失を防ぐ。市内に1件もない文化財の種類「文化的景観」の選定も行う方針だ。
 計画案は有識者、文化財所有者らでつくる計画策定協議会が令和5年度から検討を進め、このほど市教委定例会に示された。指定文化財のほか、地域で大切にされてきた古民家や遺跡、祭りなども対象に加え、50項目の保存活用策を盛った。
 屋敷林や堰など「安曇野らしい風景」を構成する未指定文化財の重点調査、担い手が減少する祭りの継承支援、継承が難しい所有者に代わって文化財を維持管理する「文化財保存活用支援団体」の指定などを進める。
 市が把握する未指定文化財は2万5856件あり、このうち古民家や屋敷林などで構成する景観の分類は49件ある。これらを候補に、地域の風土で形成された「文化的景観」のエリアを選定。国または県、市の指定を受け、域内の建造物の修繕などに補助金を活用する方針だ。
 「残したい安曇野らしい風景」に関する市民アンケートでは、田園風景や北アルプス、河川・湧水などを挙げる人が多かった。市文化課は「地域と合意形成を図り、慎重に進めたい」としている。
 市民と文化財の接点を増やす施策として新市立博物館の整備も盛り込んだ。市教委は有識者などでつくる整備方針検討委員会から年度内に提言書を受け、基本計画や財源確保策を検討する方針だ。
 地域計画の期間は令和8~15年度。市は市議会の了承を得て6月下旬から意見公募を行い、12月に文化庁の認定を得る予定。計画に盛り込んだ施策は国の補助が受けやすくなる。松本市や塩尻市も策定している。

安曇野の風景を構成する田園や屋敷林、北アルプス

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