天蚕糸で商品開発 都市部の服飾系専門学校生が奮闘 来年1月販売へ
2025/07/30
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天然の輝きと希少性から「繊維のダイヤモンド」と呼ばれ、安曇野市内で生産されている「穂高天蚕糸」を多くの人に知ってもらおうと、都市部の服飾系専門学校生らが伝統の製法を学び、商品化して販売する取り組みをしている。31日まで4日間、市内に滞在中で、29日は繭の収穫や糸を紡ぐ体験をした。
市観光課の天蚕振興事業「シルク・アイデア・コンペティション~TENSAN」の一環で、アパレルデザインを専攻する東京都と大阪府の6人が参加している。同日は市天蚕振興会の田口忠志会長(78)の案内で穂高有明の飼育林で天然の蚕「天蚕」の繭を収穫した。葉に隠れた自然色の繭を探すのに苦労しながらも丁寧に取った。
同会繰糸部に紬糸作りも教わった。繭から蚕を取り出し、煮て乾燥させた繭を手でほぐしてふわふわにした後、糸にし、糸車でよりを掛けた。大阪府の水島悠里さん(19)=上田安子服飾専門学校2年=は「色が美しく手触りが良いので常に触れるアクセサリーにしたい。伝統文化として継承される魅力を伝えられたら」と楽しみにした。指導した会員の松井尚子さん(48)は「天蚕糸を活かそうと真剣に、楽しそうに取り組んでくれる姿がうれしい」と喜んだ。
学生は歴史や製造過程を学び、病気や猿の食害などで生産量が減少している現状なども聞いた。今後は市内で天蚕糸の魅力や課題をリサーチし商品化に活かす。来年1月の販売を予定する。市観光課は「天蚕の魅力が広がる新しいアイデアと発信力にぜひ期待したい」と話していた。
