堀金出身の平良光子さん 動物の木彫 故郷で初展示 平和への祈り形に 市美術館の若手作家4人特別展で
安曇野市美術館(豊科)は、活躍が期待される県内ゆかりの若手現代アーティスト4人の活動にせまる特別展「触れられない でも 覚えている」(市民タイムス共催)を来年1月12日まで開いている。安曇野市堀金烏川出身の彫刻家・平良光子さん(29)=神奈川県=が、生まれ育った安曇野で初めて作品を披露した。
平良さんは、主にクスノキで動物を表現し、岩絵の具で彩色する。穏やかに目を閉じるオオカミか犬の特徴を捉えた生き物を有刺鉄線で囲った大作は、イスラエルとパレスチナの紛争に「表現者として何ができるのか」と揺り動かされ、「自分の祈りを形にした作品」という。
平良さんは、12歳までを安曇野で過ごし「山や自然の普遍的な美しさは自分の感性に影響を与えた」と話す。木彫に道を定め、技術と表現を深めた東京芸術大学大学院を卒業後、首都圏を中心に作品発表を続けており「故郷で展示機会をいただけて、うれしい」と活動意欲につなげる。
大町市在住の淺井真至さんは、淡い色彩で輪郭が曖昧や明瞭な形を画面いっぱいに描いた水彩画を並べる。上田市出身の平田尚也さんは、インターネット上の画像や3Dデータ素材をAI(人工知能)を使って映像作品や彫刻作品に変換した。長野市出身の宮内由梨さんは、体の「かゆみ」を創作動機とし、かく行為そのものを表現手法に作品をつくる。はがきに綿布を縫い付け、肌をかくのと同じ強さで表面をひっかき、友人らへ送った手紙を配列した作品などがある。
作家それぞれが空間演出も手掛け、会場を作り込んだ。同館の荒川瞳学芸員は「それぞれの奥底にある知覚や感情が刺激されるような鑑賞体験を」と来場を呼び掛ける。
21日午後2時から平良さんのトークイベントがある。開館は午前9時~午後5時。月曜休館。一般700円、大学生・高校生500円。問い合わせは同館(電話0263・73・5638)へ。

平良さんが祈りや平和の象徴とする動物がモチーフの木彫



