植物の木彫 力強く繊細に 83歳・上嶋康永さん 節郎館南の蔵で個展
2025/11/12
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安曇野市穂高柏原の上嶋康永さん(83)の個展が16日まで、穂高北穂高の安曇野髙橋節郎記念美術館・南の蔵で開かれている。木彫を中心に植物画と金属工芸の作品計約40点を展示しており、趣味の創作活動を包括的に紹介する個展は今回が初めて。力強さと繊細さを併せ持つ上嶋さんの巧みなセンスが来場者を魅了している。
上嶋さんは日本の在来植物が好きで、庭のコマクサやマユミなど植物を作品のテーマにしている。同美術館友の会展に毎年出品しており、学芸員の勧めで個展が実現した。
木彫は、50歳のころに行きつけの理髪店に飾られていた作品に関心を持って習い始めたのがきっかけ。「なるべく本物に近いように表現したい」と取り組んでおり、一つの作品が完成するまでに平均して4~5カ月ほどかかるという。マルメロを彫った作品は葉や実の質感がリアルで味わい深く、存在しない香りを感じさせる。
8年前に始めたという植物画は好きなカラスウリを主な題材にしている。水性インクのボールペンで点描してにじませる独自の技法も活用している。鑑賞者は「味わいがあっていい」「きれい」と賛辞を贈っている。
金属工芸作品は習った溶接の技術を生かしており、ミニストーブや花立て、ランプなどを展示している。貨物船の船員時代にフィリピンで入手したヤシの実を花瓶に仕立てた作品もユニークだ。上嶋さんは「作品を見ていただければありがたい」としている。
鑑賞無料。午前9時から午後5時(最終日は3時)まで。




