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2025年

石井柏亭 松本・浅間温泉で追想 疎開先の旧湯治場で催し 市民有志&信大プロジェクト

2025/11/09
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かつて柏亭が過ごしたゆこもりで、車座になって語る参加者たち
かつて柏亭が過ごしたゆこもりで、車座になって語る参加者たち
柏亭が晩年を過ごした家屋も見学した
柏亭が晩年を過ごした家屋も見学した

 中央画壇で活躍し、太平洋戦争末期に旧本郷村の浅間温泉に疎開した画家・石井柏亭(1882~1958)について、柏亭が当時身を寄せた湯治場を会場に語り合う催しが8日、松本市の浅間温泉で開かれた。市美術館で開催中の特別展「石井柏亭えがくよろこび」を受けて市民が企画。柏亭が晩年を過ごし、現在はギャラリーゆこもり(浅間温泉3)として親しまれる旧湯治場・疝気の湯で、市内外の10人が在りし日の先人に思いをはせた。
 柏亭は昭和20(1945)年3月、東京大空襲で東京の住居や画室を焼失し、本郷村に疎開。翌年に疝気の湯に転居し、亡くなるまで13年を浅間温泉で過ごしたという。
 語り合う会は「浅間でわいわい」と題し、ゆこもりを営む滝沢一以さん(57)の案内で柏亭が過ごした部屋を見学したり、車座になって語り合ったりした。
 柏亭の住まいは昭和の初期に移築された蚕室といい、8畳間と4畳間に台所や手洗いが付く。「柏亭夫妻と三女、四女が住んだのではないか」と滝沢さん。多くの文化人らが肩を寄せ合った縁側にも皆で腰を掛け、安曇野市から参加した柳澤忠則さん(75)は「浅間の文化は奧が深い。知って、若い人に伝えていきたい」と話していた。
 市民有志でつくる「松門文庫をひらく会」と信州大学人文学部「学び合いの場」プロジェクトが企画した。