0000日(木)
2025年

松本城月見櫓の建築は戸田家時代か 「将軍・家光のため造営」説は時期が合わず

2025/11/07
後で読む

 松本城の特徴となっている、天守と一体となった月見櫓の建築年代も明らかになった。これまで寛永11(1634)年の建築とされていたが、今回の調査では、さかのぼって寛永3(1626)年に伐採されたツガの梁が創建時の部材として使われていたことが分かった。
 従来の公式見解は、松平直政が城主だった1630年代に、3代将軍・徳川家光を迎えるために月見櫓を付け足したとする。しかし、寛永3年は直政より前の城主だった戸田康長の時代に当たり、今後公式見解の修正を迫られそうだ。
 松本市教育委員会が発行する小学生の教材『わたしたちの松本城』にも、月見櫓について「当時幕府は大名が城を築いたり直したりすることを禁じていたが、将軍家光が松本に来るという話があり、直政は幕府から特別の許しを得て、月見櫓と辰巳附櫓をつくった」という解説文がある。
 将軍をもてなすために優雅な雰囲気の建物になっているという月見櫓のエピソードはよく知られているだけに、今回判明した新事実は各方面で議論を呼ぶ可能性がある。

松本城の月見櫓