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2025年

リニアの快適な超高速体験 山梨で試乗会、新型車両初公開も

2025/11/05
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 東京―大阪間を約1時間で結ぶ「リニア中央新幹線」の開業に向け、JR東海は各地で工事を進めている。県内は飯田市に駅が建設され、岐阜県駅(仮称、中津川市)は南木曽町から車で約40分の立地に開設予定だ。中信地域でも木曽郡や塩尻市などが活用に向けた方策を探っている。注目が一段と高まる中、進捗状況を知るため、山梨実験センター(山梨県都留市)で10月30日に開かれた試乗会に参加した。
 センターは平成8(1996)年に開設。実際の路線となる付近の42.8キロ区間を使い、試験走行を重ねる。古賀俊作所長らが現状を説明した。
 磁石の力で車体を約10センチ浮かせて走らせる「超電導」の技術は、29年に国土交通省から営業できる状態にあると評価を受けた。現在、消費電力削減などの低コスト化、騒音減、環境負荷軽減といったブラッシュアップを続けているという。
 7月に走行を始めた新型車両を初公開した。車内の天井にプロジェクターで映像や案内などを投影する。トンネル内の走行が多く、車体の強化や軽量化のため車窓が狭い中、乗客が快適に過ごすための試みだ。
 試乗では実験区間を往復した。車両は時速150キロを超すと、車輪走行から切り替わって浮上。あっという間に500キロまで加速した。「ゴオオ」と風を切る低い音が響いた。振動はさほど気にならない。慣れてくると、超高速で走る実感が湧かないほどだった。勾配やカーブもある42.8キロを、加減速を含め約8分で走り終えた。
 一方、工事の遅れなどで品川―名古屋間の開業は、当初の令和9年から17(2035)年以降にずれ込むとみられる。同社は10月29日、物価高騰や難工事で同区間の総工費が当初から約4兆円増の11.0兆円になる見通しを発表した。試乗会では「自力で計画を推進できると確認できた上の決定」と説明した。
 同社はリニアの意義について、経済・社会活動の活発化、東海道新幹線の南海トラフ地震被災時などを想定した「大動脈輸送の二重化」といった点を挙げ、「一日も早い開業に向け進めていきたい」としている。

新型の試験車両「M10」の車内。天井に映像を映す

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